DJI FlightHub 2 パブリッククラウドデプロイガイド
このガイドでは、Amazon Web Services (AWS) および Microsoft Azure のクラウドサーバーに FlightHub 2 オンプレミスをデプロイするための推奨方法を説明します。サーバー設定要件、インストール前の準備、依存関係のインストール、Azure vGPU ドライバーの設定について解説します。
1サーバー設定要件
接続する Dock の数、Terra の必要性、実際のストレージおよびライブストリームの要件に応じて、クラウドサーバーの構成を選択してください。
1.1 基本ハードウェア要件
推奨されるハードウェア構成と容量は以下のとおりです。
| 設定項目 | 推奨構成 | 設定に関する注意事項 |
|---|---|---|
| CPU | 最低 8 コアから | Dock を 5 台接続する場合は 8 コアから、Terra が必要な場合は最低 12 コアを構成してください。 Dock を 10 台以上接続する場合は最低 16 コアを推奨します。Terra が必要な場合は最低 20 コアを構成してください。 |
| メモリ | 最低 32 GB から | Dock を 10 台より多く接続する場合は、計画するメモリ容量を増やしてください。 |
| データディスク | システムディスク:512 GB 以上 データディスク:2,048 GB 以上 | 実際のメディア保存要件に応じて、最低 2,048 GB を基準にデータディスクの容量を決定してください。 |
| ネットワーク帯域幅 | ライブストリームの要件に応じて設定 | 同時ライブストリームの要件に応じて帯域幅を選択してください。同時配信するライブストリームごとに 5 Mbps を確保し、さらに全体で約 10% の追加チャネル帯域幅を確保してください。 |
1.2 基本ソフトウェア要件
オペレーティングシステム、コンテナ環境、GPU 関連コンポーネントは以下のとおりです。
| ソフトウェアコンポーネント | バージョン要件または設定方法 | 注意事項 |
|---|---|---|
| オペレーティングシステム | Ubuntu Server 24.04 LTS | AWS と Azure の推奨構成はいずれも Ubuntu 24.04 を使用します。 |
| NVIDIA Container Toolkit | Terraモデル再構築をデプロイする場合のみ必要 | デプロイ補助スクリプトを使用して依存関係を準備してください。 |
| NVIDIA ドライバー | Terraモデル再構築をデプロイする場合のみ必要 | 標準環境では、sudo ubuntu-drivers devices を使用して推奨ドライバーを確認してください。Azure vGPU 環境については、専用のドライバー設定手順を参照してください。 |
1.3 AWS の推奨構成
- 基本の EC2 インスタンス
c5.4xlarge。メディア保存要件が高い場合はc5d.4xlargeを選択してください- ストレージ要件
- io1 を基本とし、メディアファイルの読み書きや操作が頻繁な場合は io2 を検討してください
- ディスク容量
- システムディスク:最低 500 GB。データディスク:2,048 GB から。大量の飛行メディアを保存する必要がある場合は、さらに容量を増やしてください
- オペレーティングシステム
- Linux (Ubuntu 24.04)
- 基本の EC2 インスタンス
g5.8xlarge- ストレージ要件
- io1 を基本とし、メディアファイルの読み書きや操作が頻繁な場合は io2 を検討してください
- ディスク容量
- システムディスク:最低 500 GB。データディスク:2,048 GB から。大量の飛行メディアを保存する必要がある場合は、さらに容量を増やしてください
- オペレーティングシステム
- Linux (Ubuntu 24.04)
1.4 Azure の推奨構成
- 基本の VM
Standard_D16s_v6- ストレージ要件
- Premium SSD を基本とし、メディアファイルの読み書きや操作が頻繁な場合は Premium SSD v2 を検討してください
- ディスク容量
- システムディスク:最低 500 GB。データディスク:2,048 GB から。大量の飛行メディアを保存する必要がある場合は、さらに容量を増やしてください
- オペレーティングシステム
- Linux (Ubuntu 24.04)
- 基本の VM
Standard NV36ads A10 v5- ストレージ要件
- Premium SSD を基本とし、メディアファイルの読み書きや操作が頻繁な場合は Premium SSD v2 を検討してください
- ディスク容量
- システムディスク:最低 500 GB。データディスク:2,048 GB から。大量の飛行メディアを保存する必要がある場合は、さらに容量を増やしてください
- オペレーティングシステム
- Linux (Ubuntu 24.04)
2インストール前の準備
インストールを開始する前に、以下の準備を完了してください。
- ライセンスとインストールパッケージのダウンロード URL を取得する: 手順については、「ライセンスとインストールパッケージのダウンロード」を参照してください。
- デプロイ補助スクリプトを取得する: install_helper.sh をダウンロードし、対象のクラウドサーバーにアップロードしてください。
- ネットワーク環境を準備する: APT などのツールが依存パッケージや必要なファイルを取得できるように、インストール中にクラウドサーバーから必要なソフトウェアリポジトリおよびダウンロード URL にアクセスできることを確認してください。
- ポートの空き状況を確認する: デプロイに必要なポートが他のサービスによって使用されていないことを確認してください。ポートの要件については、「ネットワーク要件」を参照してください。
コマンドの実行環境
SSH 経由で対象のクラウドサーバーにログインし、デプロイ補助スクリプトがあるディレクトリで以降のスクリプトコマンドを実行してください。システムの設定やソフトウェアのインストールを行うコマンドは、sudo 権限を持つアカウントで実行してください。
3環境の確認と依存関係のインストール
3.1 スクリプトへの実行権限の付与
デプロイ補助スクリプトをアップロードした後、以下のコマンドを実行してください。
chmod +x install_helper.sh
3.2 インストール前チェックの実行
check コマンドを実行し、オペレーティングシステムと現在の環境がインストール要件を満たしていることを確認してください。
sudo ./install_helper.sh check
チェック結果の出力例を以下に示します。実際の出力はサーバー環境によって異なる場合があります。
Starting pre-install read-only checks.
Platform check passed: Ubuntu 24.04.4 LTS (x86_64)
[Check] Ubuntu apt candidate versions
chrony detected, skipping systemd-timesyncd candidate check.
Pass: resolvable install candidates exist for curl, aria2 and verification tools (read-only).
[Check] apt install transaction
Pass: current apt state can resolve installation dependencies (dry-run).
[Check] Time synchronization service
chrony detected, skipping systemd-timesyncd.
...
チェックに失敗した場合の対処
チェックに失敗した項目(通常は赤色で表示)がある場合は、表示された案内に従って原因を調べ、問題を解決してから再度チェックを実行してください。以降のデプロイに影響が出ないよう、インストールを続行する前にこれらの問題を解決してください。
3.3 依存関係のインストール
チェックに合格したら、以下のコマンドを実行して依存パッケージをインストールしてください。
sudo ./install_helper.sh pre_install
インストール中に、Terra 関連コンポーネントをインストールするかどうかをスクリプトが確認します。
是否需要安装 Terra(含 Nvidia driver 和 toolkit)?
Install Terra (including Nvidia driver and toolkit)? [y/n]:
- Terra が必要な場合:
yを入力し、Enter キーを押してください。 - Terra が不要な場合:
nを入力し、Enter キーを押してください。
Terra 関連の依存関係をインストールする際に、NVIDIA ドライバーのダウンロードとローカルでのコンパイルが必要になる場合があります。時間がかかることがあるため、インストールが完了するまでお待ちください。
Azure vGPU 環境
Azure vGPU を使用する場合は、互換性のある NVIDIA ドライバーを手動でインストールしてください。「ドライバーの設定」の章に従って専用のドライバー設定を完了し、GPU の状態を確認してください。
Terra 関連の依存関係をインストールするよう選択した場合の出力の一部を以下に示します。ドライバー名とバージョンは実際のサーバー環境によって異なります。
[安装 / Install] nvidia-driver-595-open
...
完成 / Done: nvidia-driver-595-open.
Terra 安装完成 / Terra installation completed.
pre_install 完成 / pre_install completed.
3.4 GPU の状態の確認 (Terra を使用する場合)
標準の GPU 環境では、ドライバーをインストールした後に以下のコマンドを実行してください。
nvidia-smi -L > /dev/null && echo "success"
success が出力されれば、GPU 情報を照会するコマンドは正常に実行されています。このメッセージが表示されない場合は、ドライバーのインストール状況とコマンドが返したエラーを確認してください。
Terra のデプロイを選択していない場合は、この確認を省略してください。外部データディスクを使用する場合は、先に「外部データディスクのマウント」の章を完了してください。使用しない場合は、「インストールパッケージの取得と展開」の章に進み、インストールパッケージを取得してください。Azure vGPU 環境では、先に次の章を完了してください。
4Azure vGPU ドライバーの設定
この章は、NVIDIA ドライバーの設定が必要な Azure vGPU インスタンスを対象としています。他の環境では、外部データディスクを使用する場合は「外部データディスクのマウント」の章に、使用しない場合は「インストールパッケージの取得と展開」の章に進んでください。
使用する vGPU モデルと互換性のある Azure GRID ドライバーを選択してください。ドライバーの選択とインストール要件については、Microsoft の公式ドキュメント「Linux を実行する N シリーズ VM に NVIDIA GPU ドライバーをインストールする」を参照してください。
これらの操作による影響
以下の操作には、既存の NVIDIA ドライバーのアンインストールとサーバーの再起動が含まれます。GPU サービスの中断が許容されるタイミングで実行し、サーバーが再起動した後に SSH 経由で再接続してください。
4.1 既存の NVIDIA ドライバーのアンインストール
sudo apt-get purge -y 'nvidia-*' 'libnvidia-*'
sudo apt-get autoremove -y
4.2 ビルドツールのインストール
sudo apt update && sudo apt install -y build-essential
4.3 互換性のある Azure GRID ドライバーのダウンロード
現在のインスタンス用のドライバーダウンロード URL を確認した後、以下のコマンドを実行してください。<azure_grid_driver_url> を実際のダウンロード URL に置き換え、前後の引用符は残してください。
wget -O NVIDIA-grid-azure.run "<azure_grid_driver_url>"
ダウンロード URL の例:NVIDIA-Linux-x86_64-595.91.07-grid-azure.run。この URL は例としてのみ記載しています。使用する前に Microsoft の公式ドキュメントを参照し、現在のインスタンスとの互換性を確認してください。
4.4 ドライバーのインストールとサーバーの再起動
sudo chmod +x NVIDIA-grid-azure.run
sudo ./NVIDIA-grid-azure.run --silent
ドライバーが正常にインストールされたことを確認したら、再起動コマンドを実行してください。
sudo reboot
4.5 ドライバーのインストール結果の確認
サーバーが再起動したら、SSH 経由で再度ログインし、以下のコマンドを実行してください。
nvidia-smi -L > /dev/null && echo "success"
success が出力されれば、GPU 情報を照会するコマンドは正常に実行されています。確認に失敗した場合は、ドライバーとインスタンスの互換性、およびインストールログを確認してください。
5外部データディスクのマウント
パブリッククラウドのインスタンスで新しく接続した空の外部データディスクを使用する場合は、ダウンロードとインストールを続行する前に、パーティションの作成、フォーマット、マウントを行ってください。その後、DJI FlightHub 2 のインストールパッケージのダウンロード、アップロード、展開、インストールを /fh_data 配下で行い、以降の操作でもこのディレクトリを使用してください。
データ消失のリスク
この章は、新しい空のデータディスクのみを対象としています。パーティションテーブルの作成とフォーマットを行うと、対象ディスク上のすべてのデータが消去されます。コマンドを実行する前に、実際の環境に合わせてデバイスのプレースホルダーを置き換え、対象デバイスがシステムディスクではないことを再確認してください。ディスクに既存のデータがある場合は、この章のパーティション作成およびフォーマットのコマンドを実行しないでください。
5.1 外部データディスクの識別
まず、ディスク、パーティション、ファイルシステム、マウントポイントを確認してください。クラウドコンソールで設定したディスク容量と比較して新しいデータディスクを識別し、完全なデバイス名を記録してください。
lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,FSTYPE,MOUNTPOINTS
sudo fdisk -l
AWS および Azure のデバイス名には、/dev/nvme1n1、/dev/xvdb、/dev/sdc などがあります。実際の出力を基準にしてください。以下のコマンドで、/dev/<data_disk> はデータディスク全体を指し、システムディスクや既存のパーティションを指すものではありません。
5.2 fdisk によるパーティションの作成
/dev/<data_disk> を前の手順で確認したディスク全体のデバイス名に置き換えてから、fdisk を起動してください。
sudo fdisk /dev/<data_disk>
対話形式の画面で、以下のオプションを順番に入力してください。三回の Enter 入力はそれぞれデフォルト値を確定し、利用可能な領域全体を使用するパーティションを作成します。
g
n
Enter
Enter
Enter
w
g:新しい GPT パーティションテーブルを作成します。n:新しいパーティションを作成し、パーティション番号、開始セクター、終了セクターのデフォルト値を確定します。w:パーティションテーブルを書き込み、終了します。
lsblk を再度実行して、新しいパーティション名を確認してください。NVMe ディスクのパーティション名は通常 /dev/nvme1n1p1 などで、他のディスクでは /dev/xvdb1 や /dev/sdc1 などが使用される場合があります。以降のすべてのコマンドで、/dev/<data_partition> はこの新しいパーティションを指します。
lsblk -o NAME,SIZE,TYPE,FSTYPE,MOUNTPOINTS
5.3 フォーマットと初回マウント
パーティション名が正しいことを確認したら、新しいパーティションを ext4 でフォーマットし、/fh_data にマウントしてください。
sudo mkfs.ext4 /dev/<data_partition>
sudo mkdir -p /fh_data
sudo mount /dev/<data_partition> /fh_data
5.4 起動時の自動マウントの設定
新しいパーティションの UUID を照会し、出力から UUID="..." の値をコピーしてください。
sudo blkid /dev/<data_partition>
/etc/fstab を編集してください。
sudoedit /etc/fstab
以下の行をファイルの末尾に追加してください。<uuid> を先ほど取得した UUID の値に置き換え、引用符や山かっこは付けないでください。
UUID=<uuid> /fh_data ext4 defaults,nofail 0 2
5.5 マウントの確認とディレクトリ権限の設定
現在のマウントを解除し、/etc/fstab に従って再度マウントして、設定が正しいことを確認してください。
sudo umount /fh_data
sudo mount -a
findmnt /fh_data
findmnt に /fh_data と対応するデータディスクのパーティションが表示されれば、マウント設定は正常に機能しています。続いて、ディレクトリの所有権を現在のデプロイ用アカウントに割り当ててください。
sudo chown "$USER:$USER" /fh_data
以降の手順の作業ディレクトリ
次の章以降では、インストールパッケージのダウンロード、アップロード、展開、インストールを必ず /fh_data で行ってください。その後の DJI FlightHub 2 の使用で生成されるデータも、このディレクトリに対応するデータディスクに保存してください。
6インストールパッケージの取得と展開
環境の準備が完了したら、/fh_data に移動し、以下のいずれかの方法で DJI FlightHub 2 のインストールパッケージをこのディレクトリに配置してください。
cd /fh_data
- インストールパッケージをローカルコンピューターにダウンロードしてから、クラウドサーバーの
/fh_dataディレクトリにアップロードします。 - インストールパッケージのダウンロード URL を使用して、クラウドサーバーの
/fh_dataディレクトリに直接ダウンロードします。
6.1 補助スクリプトによるダウンロード (任意)
デプロイ補助スクリプトはマルチスレッドダウンロードに対応しています。使用する場合は、補助スクリプトが /fh_data にあることを確認し、そのディレクトリで以下のコマンドを実行してください。
cd /fh_data
./install_helper.sh download "<package_url>" "<save_filename>"
<package_url>:実際のインストールパッケージのダウンロード URL。<save_filename>:サーバー上でインストールパッケージを保存する際のファイル名。
各プレースホルダー全体を実際の値に置き換え、山かっこは付けないでください。URL 内の特殊文字やファイル名のスペースがコマンドの実行に影響しないよう、引用符は残してください。
6.2 インストールパッケージの展開
ダウンロードまたはアップロードが完了したら、プレースホルダーを実際のファイル名に置き換え、/fh_data ディレクトリで以下のコマンドを実行してください。
cd /fh_data
tar xf "<save_filename>"
7DJI FlightHub 2 のインストール
DJI FlightHub 2 のバージョンによって、インストール手順が異なる場合があります。/fh_data 配下に展開したインストールパッケージのディレクトリからインストールを開始し、使用するインストールパッケージのバージョンに対応したユーザーマニュアルに従ってインストールを完了してください。その後の使用で生成されるデータも、/fh_data に対応するデータディスクに保存してください。
現在公開されているオンラインのインストール手順については、「インストールウィザードの起動」を参照してください。